第2章 銀色に輝く灰燼

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「これ、は…………」 所々、大小様々に崩れた家、道、そして、街。 修復作業をひたすら行っている金づちの音が、先程から絶えず鳴り響いている。 誰もが汗を流し作業に明け暮れる中、美しき銀灰が街に入った。 その銀灰は足を止めると、街の端で屋根を作る作業をしていたらしい漁師に、大きな声で呼びかける。 「ひとつ尋ねたいのだが……ここはカヤナイツで間違いないか?」 漁師は作業を中断し、梯子の上から振り返った。 混じり気のない純粋な銀灰。見えた銀灰の美しさにハッと目を奪われる。 だが怪訝に細められた眼に、ただ見とれていたことに気づかされ答えた。 「ああ!それより姉ちゃんよ、手が空いているなら手伝ってくれ!こんなだから誰も彼も猫の手を借りたい状態なんだ!」 それだけを言うと、また忙しなく手を動かし始めた漁師は少ない材木を置いては釘を打ち、打っては置くと繰り返す。 街にやって来た銀灰は、女性のようだ。 「(情報をもらわなければならないからいいか……)何をすればいい?」 荷物らしい荷物もない銀灰は手を持て余すように振ってみせた。 「壊れた所を元通りにしたいんだが、木材とレンガが足りないんだ。まぁどこもそうだけど。」 作業はしつつ、意識は向けつつ、漁師は黙々と修復を進める。
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