第8章 虚ろなる覚醒

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「誰が、対等に話をすると言った?」 『…………』 「下手なマネするなよ。」 ジリジリと逃げ出そうと身を捩らせても、影が色濃く魔物を縛り上げる。グリスが言葉に力を持たせ、魔物にきかせた。 「『真実を答えろ』――無意識に作用する、強制力のある言霊だ。お前は俺に逆らえない」 更に、漏れ出る闘気が、本能的に敵意を奪い従わせる。これに逆らってはならない、と。 「まず確認だ。お前は、お前が主の不利益と思う物事を生み出した場合、死に至るように仕掛けられているか?」 魔物は抵抗するように口に力を込めていたが、意志とは反して絞り出すように否、と言った。 「……ふむ。次、お前は何に属するものだ」 『魔族、悪魔属、竜、獣カラ作ラレタモノダ』 「キメラか……。お前に命令を下した大元は?」 言葉にならないのか、口がゆっくりと開くだけで返答はない。 「ほう、相手さんも少しは頭を使える奴か」 グリスは質問の仕方を変えた。 「お前はお前らの大元を知らない。そうだな?」 今度はそうだと返ってきた。 「では、お前を造ったのは、誰だ?」 『大鴉のヌシ』 「大鴉……の主?」 頭を捻ったグリスは、ふと、思い出したようにひとつ唱える。 「“サウスラトアーチ”ーー大鴉の主とやらを、思い浮かべてみろ」 共有したイメージには、ペルモニィやゴートよりもひと回り大きな体躯のカラスを従えた、白髪の大男。そしてその隣には。 「この男は………ん、クラウス?お前、クラウスに会ったことがあるのか」 セシルの義父、クラウスだった。大鴉の主とは、にこやかに会話をして握手も交わしている。
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