プロローグ

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麗子お嬢様が珍しくおれを中庭まで呼びつけた。 庭師が整えた樹々。 調整を怠らない白い彫刻紋様の噴水。 ヨーロッパ宮殿のように、緑と白亜の建物が見事に調和している……らしい。 学がろくにないおれにはわからない。 五十嵐コンツェルンの次女である麗子お嬢様お気に入りの中庭。 それだけで、おれにとっては立ち入るのもおこがましい聖地だと言える。 だからおれはブナの木陰から出られない。 丁度、白いベンチに座る麗子様の背後に位置する。 「片山……。樹里亜の調査はいつになったら終わるんだい?」
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