煙草の香り

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町の景色と夕日がよく見えるこの公園は、俺のお気に入りの場所だ。 人通りも少ないし、ちょっとワルい事をするのにちょうどいい。 (ま、ワルい事って言っても、煙草吸うだけだけどね…) 特別、煙草が好きと言う訳ではない。たまに吸いたくなる程度だ。 いつも吸っている訳ではないから、煙草の煙を肺まで入れると、どうもむせてしまう。だから、ふかすだけ。 一度、ふかしている所を人に見られたことがある。 綺麗で、少し不思議な雰囲気の人だった。 『なんか、壊れたロボットみたいだね。 煙が口からモクモク出てる…』 その人はそう言って、クスクス笑っていた気がした。 (あの人、何してるのかなー… なんか、不思議な人だったよな。) 不意に彼に、もう一度会ってみたくなった。 特に意味はないが、ただ会ってみたい。 「なーんてね。そうそう人通らないし、ココ。 第一、会ったのいつ頃よ。」 少し、小さいため息をついて吸い殻を踏み潰した。 箱から新しい煙草を出してくわえる。 なぜだか今日は、長くここに居たくなった。 「少年、煙草は肺まで入れるものだよ。 無理してんなら、俺にちょーだい。」
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