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「やっぱり、何か悩んでるでしょ。
ダメだよー。悩んで溜め込んでたら…」
奏太は手を伸ばし、俺の頭を撫でてくれた。
きっと、彼からしたら慰めなのだろうけど、胸が締めつけられるような感じがして苦しい。
「別に、何も悩んでないです。子供扱いするの止めてください。」
きっと、俺は彼の事が好きだ。きっとじゃなくて、絶対に好きだ。
けれど、この気持ちが叶う事はないだろう。俺の片思いなんだから。
「ふふ、そうかい。
俺からしたら、高校生はまだまだ子供だよ。」
そう言って名残惜しそうに、奏太の手が離れていった。
「ねぇ、あんたは、その先輩のこと好きだった?」
俺が突拍子も無く、そんなことを聞くと、奏太は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「先輩として、好きだったよ。向こうはどうだったか知らないけど。」
「そっか…」
正直、答えてもらえるとは思わなかった。
それに、期待していたわけではなかったけれど、奏太がその先輩を好きと言わなくて良かった。
「なんで、そんなことを聞くんだい?」
奏太が不思議そうに聞いてきた。
どうしよう。言ってしまおうか。
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