煙草の香り

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俺はしばらく悩んでいた。その間、俺の顔はそうとうマヌケ面だったと思う。 「涼クン?」 はっとして顔を上げると、奏太が少しムッとした表情で俺の顔を見ていた。 「何かいいたい事があるでしょ。」 うん。言ってしまおう。また会えるかも分かんないのだから。 今の奏太の言葉で決心できた。 「奏太サン、俺…あんたのことが好きだ。」 恥ずかしくて、怖くて奏太の顔なんて見れなかった。 すぐに、返事が来ないのは分かっていたはずなのに、時間が流れるのが遅く感じた。 この場所にいるのが、すごく辛い。 「ゴメン!今の嘘だから!冗談だから…」 逃げようと思って、ベンチから立ち上がろうとしたら、手を捕まれた。 「俺も、君のこと好きだよ。 なのに、返事も聞かないで帰るの?」 「…ホントに?」 「本当に」 「嘘じゃないのか?」 「嘘じゃないよ。 涼クンは疑り深いなぁ。俺のこと、信じてくれない?」 疑ってるわけじゃないくて、信じてないわけじゃなくて、嬉しすぎて、奏太が嘘をついてるかもと思った。 「違う!ただ、嬉しすぎて…」 嬉しすぎて涙が出そうだ。 顔を上げて奏太の顔を見ると、彼は笑っていた。
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