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俺はしばらく悩んでいた。その間、俺の顔はそうとうマヌケ面だったと思う。
「涼クン?」
はっとして顔を上げると、奏太が少しムッとした表情で俺の顔を見ていた。
「何かいいたい事があるでしょ。」
うん。言ってしまおう。また会えるかも分かんないのだから。
今の奏太の言葉で決心できた。
「奏太サン、俺…あんたのことが好きだ。」
恥ずかしくて、怖くて奏太の顔なんて見れなかった。
すぐに、返事が来ないのは分かっていたはずなのに、時間が流れるのが遅く感じた。
この場所にいるのが、すごく辛い。
「ゴメン!今の嘘だから!冗談だから…」
逃げようと思って、ベンチから立ち上がろうとしたら、手を捕まれた。
「俺も、君のこと好きだよ。
なのに、返事も聞かないで帰るの?」
「…ホントに?」
「本当に」
「嘘じゃないのか?」
「嘘じゃないよ。
涼クンは疑り深いなぁ。俺のこと、信じてくれない?」
疑ってるわけじゃないくて、信じてないわけじゃなくて、嬉しすぎて、奏太が嘘をついてるかもと思った。
「違う!ただ、嬉しすぎて…」
嬉しすぎて涙が出そうだ。
顔を上げて奏太の顔を見ると、彼は笑っていた。
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