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~音桐視点~
この学園の人たちははっきり言って礼儀がありません。それに、今の時間は授業中のはず。堂々とサボリなんてどういう神経をしてるんでしょう。はぁ、早く運んで終わらせますか。
「お待たせしました。」
座っていたのは明らかに遊んでますって感じのチャラチャラした人と、ボサボサの頭をした人。
「あ、ども。」
ボサボサの頭をした人が私にお礼を言った。今までずっと働いてきたが、こんなことを言われたのは初めてだ。
「ありがとねー。」
と、チャラチャラした人もつられたように言った。どうせ上辺だけだろうと思い、顔を見たらさっきまでのへらへらとした笑いとは違い、花が咲きそうな笑顔で言っていた。
「い、いえ。あ、あの、名前を教えていただいても、よ、よろしいですか?」
私は反射的に名前を聞いていた。なんで聞いたのか自分でもわからない。
「この子の名前は珪ちゃんだよー♪ちなみに俺のねー。」
いや、あなたの名前を聞いたんですが…。目の前の少年は満足そうに笑っている。そんな顔も可愛いです。
「誰がお前のだよ!!………どちらかと言えばお前が俺の……////(ボソッ)」
「?なんか言ったー?」
「なんも言ってねー!」
彼には聞こえてなかったようですが、私にははっきりと聞こえました。俺のですって?冗談ではありません。
「あの、あなたの名前を教えてもらっても良いですか?」
あぁ、キョトンとして首を傾げてる姿も可愛いです。顔がニヤけそうになります。
「俺の名前はー「なんで言わなきゃいけねーんだよ。」…珪ちゃんー?」
ボサボサくんはどうやら私の邪魔をしたいようですね。
「そう言えば私が名乗ってませんでしたよね?私は音桐 瑠花(オトギリルカ)と言います。」
「あ、俺は姫城 玲ですー。」
私はボサボサくんを無視して彼に名前を聞いた。だって、ライバルになる人に遠慮する必要はないでしょ?そんなに睨んでも全く怖くありません。
「あ、そろそろ戻らないと…。またきてくださいね。」
名残惜しいが、仕事を半端にするわけには行かないので厨房へ戻る。あぁ、今度はいつあえるのか楽しみで仕方ないです。必ず落としますから、覚悟しておいてくださいね?
~音桐視点終了~
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