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「騒々しい…」
○○はそう口にした。
未だ、朝日と共に部屋の中に侵入してくるモノには身体が慣れてくれないから。
ベッドの上に仰向けになり音楽を聴いていた○○が付けていたイヤホンを外し、視線を左手にある窓に向けるとカーテンの隙間から真っ黒な室内に朝日が射し込んでいる。
「お-い!朝だよ-!早く降りてきなさ-い?まだ眠ってるならお姉さんが起こしちゃうよ-?」
「五月蝿いって!起きてる!準備してるから!」
本当に耳障りな──。
部屋の外。階下から響く声に○○は、そう思っているとは感じさせない自然な声を装い言葉を返す。
「何故毎朝こんなやり取りを…」
一般的な男子高校生なら一度位は想像した経験があるだろう。
朝には美人な姉か美少女が眠っている自分を起こしにきて、その後じゃれあいながら登校。そんな日々を。
しかし○○はそんな事に全く興味を持っていなかった。
それよりも毎朝繰り返されるこののやり取りを不要なものと感じている。
「嗚呼…なんて耳障りな日の光なんだろう」
そう言うとベッドから腰をあげて窓に歩み寄る。
窓の前に来ると○○はカーテンに出来た隙間から射し込む光に目を細めた。
「本当に…」
そう口にしてカーテンを勢いよく開くと光が全身に降り注ぎ、○○はその光から眼を守るため右腕を顔の前にかざす。
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