遺書

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『必ず一人は犠牲になるであろう』 この文章は四人に不安をもたらした。 ノートが見つかった時、絶対に助かる。 誰もがそう信じていたが心のどこかではやはり疑っていた。 その疑いが不安となり、やがて恐怖へと変わっていったのである。 「やっぱり誰か死ぬんだ。」 心の中では誰もが思っていた事だったが、四人はあえて口には出さなかった。 「とにかく宏樹が持ってる10円玉をこの藁半紙に包んで俺らの身代わりになる物と一緒に捨てればいいんだろ?」 大輝が出来るだけ明るく言う。 「でも身代わりになる物って何?」 静香が聞いてくる。 この質問には誰も答えられなかった。 なぜなら四人全員が抱いていた疑問だからである。 「私達の身代わりよね…ねぇ宏樹。何か思いつかないの?」 宏樹はジッとノートを眺めていた。 「考えられる事は…」 ノートを見ながら宏樹が呟くように話し始めた。
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