遺書

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「考えられる事は…身代わりっていう意味は、俺達の代わりに何かされるって事だろ?俺達今まで何された?」 「魂を取られそうになった…」 静香が怯えながら答える。 「正解。つまり俺達の身代わりになる物っていうことは、俺達の代わりに魂を取られる物ってことさ。」 「おい!それって俺らの代わりに誰か死ぬって事じゃねぇか!」 「落ち着けって大輝。何も人間だけじゃねーだろ。魂ある物。つまり命ある物って事だ。言い方変えりゃそこらのバッタでもカエルでもいいわけだよ。バッタやカエルには悪いけどな。」 「なら問題解決じゃん!」 美紀がカバンから藁半紙を取り出す。 「でも必ず一人は犠牲になるって…」 静香が不安そうに聞いてくる。 「そんなもん冗談に決まってんだろ!こっくりさんをやらせないための脅しだよ!」 大輝がその不安を一蹴し、懐中電灯片手に身代わりになる物を探し始めた。 しかし静香にはどうしても気になって仕方なかった。 『こっくりさん』の恐怖を直に経験した静香だからこそ不安で仕方なかったのである。 すると静香の視線の先にふとあの祠が目に入った。 「遺書…」 静香はゆっくりと祠へ向かい歩き出した。 まるで祠に引き寄せられるように…
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