~家族~

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「そりゃあ、いい案だな総司。早速ここに連れて来ようぜ。」 だから、良く無いっての!! 三人の中で一番まともだと思ってたのに、原田さんまで賛同しないで下さい!! 「…いえ、あのみなさん―」 「よっしゃ!!じゃあ、そうと決まったら行こうぜ!!みんな!!」 「「おぅっ!!!」」 永倉さんを筆頭に、ほとんどの隊士が立ち上がった。 (完全に私の話、無視だし…。) どうしてここの人達は、こうも人の話を聞かないんだろう…。 「こらこら。みんな、とりあえず落ち着いて座りなさい。」 「そうですよ。神崎さんが困ってるでしょう?」 近藤さんと山南さんがみんなを宥める。 「でもよぉ…。」 「でも、ではありません。感情的になっていては、いざという時に冷静な判断が出来ませんよ。」 「そういう事だ。さっさと座れ、お前等。」 「「………。」」 (まさに、鶴の一声ね…。) 近藤さんと山南さん、土方さんの説得で渋々だけどみんなは腰を下ろした。 「…ったく。で?結局、お前のあの能力はどういう事なんだ?」 「…どういう事かと聞かれても。」 (そんなの、むしろ私の方が聞きたいくらいよ…。) 「まだ、君が私達を信用していないのは重々承知している。 だが、誰かに話すだけでも、少しは気が楽になるはずだ。…良かったら話してくれないかい?」 「一人で思い悩むよりも、ずっと気は楽になるはずですよ。」 「…近藤さん、山南さん…。」 周りを見ると、他のみんなも優しい目で私を見ていた。 (…信じて、いいの…?私を、信じてくれるの…?) 「……私には。」 私は重い口を開いて、ゆっくり話し出した。 「…私には、人の怪我を治す事が出来る能力があるんです。 理由は分かりませんけど…、物心ついた頃にはこの能力がありました。」 いつからこの能力があったのかわからない。 ただ、気付けばあった…としか言いようが無かった。
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