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「…どういう意味だ?」
土方さんの声色が僅かに低くなる。
「言葉通りです…。言いましたよね、信じては裏切られての繰り返しだったって…。
皆さんが私の話しを聞いて下さってるのはわかっています。
…だけど、心のどこかにあるんです。」
私は両手をギュッと握り締めた。
「…どうせ、私の話しなんか信じてないくせにって、疑ってる自分がいるんです。」
ぽたり…と、手の甲に涙が落ちた。
「私だって…みなさんを信じたい…。だけど、そう簡単に信じる事が出来ないんです…。」
裏切られるのが怖くて…、これ以上傷を増やしたくなくて…。
私は感情を捨てた。
そうしたら、傷付く事もなくなるから…。
「…それならどうして急に話す気になった。お前はまだ俺達を信用してないんだろう?」
「…私にもよくわかりません。…だけど、きっと嬉しかったんだと思います。」
「嬉しかった?」
「…『家族』だと言って貰えた事が…。
あの賑やかな温かい空間の中に、自分がいる事が嬉しかった…。」
両目から涙が溢れて止まらなかった。
「…久しぶりだったんです。こんなに、心が温かくなったのは…。今まで、こんな気持ちになった事無かった…。」
」
ずっと私の心は空っぽだったから…。
「だから……。」
その時、誰かが私の前で屈んだ。
顔を上げると、そこにいたのは優しく笑う沖田さんだった。
沖田さんはよしよしと、大きな手で私の頭を撫でた。
「…あの…、沖田…さん?」
頭を撫でられた事がなくて、私は戸惑ってしまった。
「え?あぁ、気にしないで下さい。私がこうしたくて、やってるだけなんで。」
気にしないでって言われても…。
(お、落ち着かない…。)
「あ~っ!!ずりぃぞ総司!!俺だって慰めてやりてぇのに!!」
「俺だってそうだ!神崎、俺達の胸で存分に泣け!!」
永倉さんと藤堂さんは「さぁ、来い!!」と言わんばかりに両手を広げた。
(…いや、来いって言われても行きませんから…。)
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