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だが流石に渡も気づいたらしく、
ハッとした顔になっていた。
「危なかった…お前、マジで何者だよ」
「だからそれは言えないんだっての」
あまりにも黙秘を続けるため、
とうとう渡も腹が立った。
「じゃあ何すりゃ話してくれるんだよ!」
「じゃあ…何か、食わして」
「…はぁ?」
何とこのカーボルという謎の物体、
腹が減っていたのを我慢していたのだ。
それと同時に「ぐう」という腹の鳴る音がした。
これには渡も怒る気になれず、
ただ腹を抱えて笑っていただけだった。
「わ、笑うなよ」
それとは対照的に、
若干照れながら怒っているカーボルだった。
とりあえず渡は残した弁当をあげることにした。
「弁当かよ、しかもジャガイモばっかだし」
「文句言うなよ、俺ジャガイモ苦手なんだよ」
貰った本人は少々不満気味だったが、
その割には全部食べた。
…が。
「渡、水ないか…喉つまるわ、これ」
「だろうと思ったよ」
渡は買ってきた
500mlペットボトルの水をカーボルに渡した。
「やった、ありがとな渡」
そう言うと、
カーボルの顔はにっこりと笑っていた。
余程嬉しかったのだろう。
その時、渡の携帯が鳴った。
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