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(ぼくはどうして弱虫なんだ…)
夕暮れの河川敷、少年は沈んだ顔で座り込んでいる
散歩の途中なのだろう、右手にはロープが握られており、ロープの先には柴犬が繋がれている。
少年は数時間前の出来事を思い出す
「まことくん!いっしょに帰ろ?」
小学校の下駄箱の前、ツインテールの少女が少年に声をかける。
「いいよ、香ちゃん」
少年の名前は芦屋誠
少女の名前は坂下香
少年はこの少女と下校するのが日課になっていた。
少女は、都会からの転校生。
正義感が強くスポーツ万能、おまけに頭も良い、少女はすぐにクラスの人気者になった。
引っ越してきた家が近所であったこともあり、少女と少年はすぐに仲良くなった。
少年は、この少女に淡い恋心を抱いていた。
「今日の宿題多くない?だんだん算数難しくなってるしぃ」
「そうだねー、でも香ちゃんは先生に当てられても答えてるじゃん」
「そりゃー、家でべんきょーしてますからねー、まことくんは?」
「も、もちろんしてるよぅ」
なんて小さな嘘をつく
子供でも大人でも好きな娘の前ではカッコつけたいものだ
「へぇー、やるじゃん」
「えへへ、普通じゃない?」
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