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「ねえ、朝倉君。前に片山君のことは好きじゃないって言ってたけど…」
「聞かない方がいいかもよ」
「どうして?」
「聞いたら早川はきっと不安になるよ」
「聞かなくても不安になると思う」
「本当に聞くのか?」
「うん。話して?」
「…片山は俺と中学が一緒なんだ」
「そうなんだ。それで?」
「あいつは普段はいいやつだけど、女に関してはひどいやつなんだ」
「どういうこと?」
「えっと…、来るもの拒まずって言うか…。とにかく告白されたら例え自分に彼女がいてもOKして二股とか、それ以上のことを平気でするやつなんだ」
「そんな…」
「でも俺が知ってるのは中学まで。最近は良くなってるかもしれない。高校に入ってからは女が絡んだ噂は聞いたことないから」
「…美砂が好きになった人だもんね。きっと良くなってるはず。私は信じたい」
「俺も信じたい。ってか俺達はそれしかできないよ。本気になってる子に諦めろとは言えないしな」
「そうだね…」
話していると、いつの間にか私が降りる駅に着いた。
「じゃあね、朝倉君。話してくれてありがとう」
「あぁ。じゃあな」
電車のドアが閉まり、電車は動き出す。
私は改札へと向かう。
片山君のことを聞いて少しショックだったが、信じると決めた。
時間は息つく間もなく流れていく。
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