始まりの音

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      その瞬間…   視界がぼやけて、 場面がガラリと変わる。       『イヤァぁぁあぁっ!!やだっ…やだっ。』       …誰か泣いている?     誰?         『嫌だ、嫌だ…おじいちゃんっ!!嫌だっ…』           見覚えのある… その施設は、 おじいちゃんの研究所の… エリア4。       おじいちゃんを抱きかかえて 泣いているのは…     他ならない…愛法自身だった。           『一人にしないで…一人にしないでっ!!!』       血だらけのおじいちゃんを譲って…泣き崩れる。   その瞬間… カチャリ、と機械的な音が聞こえて… 其方に顔を向ける。       其処には… 灰色のスーツ姿にサングラスをかけた外人が居て…   無表情で、銃を此方に構えていた。         『…aR-03。 銃はお前の精神回路のみを狙っている。 …おとなしく此方にきてもらおうか?』         愛法は、“キッ”と其方を睨んで… 立ち上がった。         頭の中で“パチン”と音がして…     その瞬間…目の前を爆風が掠める。       全てが一瞬で灰になり…     愛法は怖くなって…    少し後ずさると… その場を逃げ出した。           真っ暗闇の中… 逃げて、逃げて…       たどり着いたのは…  当時… おじいちゃんの研究所の研究員だった… 高城の所だった。       『愛法?もし…おじいちゃんに何かあったら 研究員の高城君の所に行きなさい。』           思えばあの時から…    こうなる事は… 分かっていたのかも知れない。         けれど…   悲しみよりも… 恐怖心の方が大きくて…     申し訳ないような…  泣きたいような気持ちで… ドアを開いた。       すると…   また其処で… 全ての世界が歪んで… 地面が崩れだす…          
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