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『もう二度と酒は呑まん』
父はベッドの上で確かにそう言った。
だけどアルコール依存症になりつつあった父はあっさりその決意を破ってしまう。
そんな頃、母から極秘指令が下った。
父が飲みに行くときはできる限りついて行き、片っ端から父の酒を奪うということだった。
さすがに父親ゆずりの酒飲みの私も、この指令に苦労した。
怒らせないようにお酒を取り上げなければいけない。
そのためには酔っ払ったフリをするのだが、なにせ飲む量が多いので私の方が先に参ってしまうことも多々あり…。
でも、父娘の貴重な時間を過ごせたことは感謝している。
弟と私がしたためた、父への気持ちを書いた手紙は父の心には届いていたのだろうか?
今も仏壇の引き出しにひっそりとおいてある。
この頃母は、父に愛想を尽かし始めていた。
離婚しようと思うと相談されたのもこの頃だった。
その時の私は、猛反対した。
家族が壊れてしまう…そんな気持ちでいっぱいだった。
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