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『…嘘つき…』 翌日、病院へ行くと父の意識はすでになかった。 薬のせいもあり、もう死ぬまで目を覚まさないだろうと看護士は言った。 『…待っててねって言ったじゃんか』 私は泣きながらつぶやいた。 私の我慢も限界だった。 父の手を握りしめ号泣した。 理不尽なことだってわかってるよ。 待っててって言ったって待てないのも薬のせいだってわかってるよ。 だって、お父さんだってうちらに会いたかったんだから。 目を閉じたらもう私たちに会えないって、絶対思ってたんだから。 涙で顔がぐしゃぐしゃになっても、話しかけてもバイタルでしか反応しない父。 点滴をしているのに排尿が促されないため、体中がむくみ、顔は別人のように倍くらいに腫れ上がっていた。 私は毎日病院へ足を運んだ。 もちろん仕事も休んで朝から晩まで、面会時間中ずっと父のそばにいた。 …お父さん ホントに逝っちゃうの? 私たちを置いて、 孫の顔も見ずに? また、置いてけぼり?
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