終焉:無の世界

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漆黒の闇、冷たい空気。 目を開けばそこには何もない“無”の世界。 私は……あぁ、撃たれて死んだんだっけ? 愛する人を庇って。 胸にははっきりと銃痕が残っており、回りの肌や服を赤黒く染め上げている。 しかし不思議と痛みは感じない。 「行かなきゃ。」 約束を果たす為に。 そう呟いて歩き出す、まだあどけなさを残す一人の少女。 どこに向かっているのか、どこに行けばいいのか。 何も分からない。 ただ暗闇をさ迷う少女。 怖くないわけではない。 足は震え、今にでも座り込んでしまいそうなほど。 それでも歩みを止めることはない。  
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