終焉:無の世界

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目を覚ましてから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。 どれくらい歩いたのだろうか。 歩みを止めない少女の目の前に突如浮かびあがる緋色の瞳(メ)が二つ。 それに伴い辺りにバサバサと響き渡る羽の音。 「カラス……?」 「我は鴉(カラス)などではない。今、主が立っておるこの世界の神、名は御神(ミカミ)。」 「神……様?」 少女の呟きに言葉を返したのは、突如現れた御神と名乗る鴉の形(ナリ)をした神。 「此処は無の世界。主に問う。主は何を望む?」 少女に問いかける御神。 その声は静かではあるが、威圧感を与える。 「私の望みは……絶対に叶わない……。」 俯き、呟くように答える少女。 私は死んだのだから。 私の願いは叶わない、いや、叶うはずがない。 そんな悲しげな少女に御神は言う。 「何故そう決めつける?此処は無の世界。叶わぬものなど何もない。」  
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