第1話-榮花学園-

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光がパンパンと手を叩くと、一人の女性が奥からスッと現れた。 「お前付きのメイド」 そう光が紹介すると、女性は姫蝶に深くお辞儀をして言った。 「本日より華月院様の身の回りのお世話をさせていただきます。緑(ミドリ)と申します」 光は姫蝶についての豊春からの伝言を緑に伝える。 緑は「かしこまりました」と頭を下げると、姫蝶を案内しようとした。 …が、当の姫蝶は 『…は?』 状況が理解できず立ち尽くしていた。 「どうかなさいましたか?」 『…緑さん、と言ったな。どういうこと?』 「…と、仰られますと…?」 緑は困ったように光を見た。 姫蝶もそれを追って光に顔を向ける。 『意味がわからない。ここは学園長のお宅では?』 「誰もんな事言ってねーだろ」 姫蝶は耳を疑った。 (学園長の邸宅ではない…?) 『…じゃあ、ここは何?なぜ私を連れてきた?』 「俺は豊春さんに頼まれた通りにしただけだ。…その様子だと、何も知らないんだな、お前」 姫蝶はムッと顔をしかめる。 光は緑に一旦退室するように促し、側の大きなソファーにドカッと腰を下ろした。 「そこ、座れ」 『……』 光の口調に再びイラッとするも、姫蝶は少し間を置いて反対側に腰を下ろした。 …とにかく今は、この訳の分からない状況を把握すること。 それが最優先だ。
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