第1話-榮花学園-

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「榮花には、生徒会長が二人存在する。 男女一人ずつな。 それぞれの中で、家柄・資産を含めて統計的に見た時 最高の者が、入学した時点で自動的に選出・任命される。 …つまり、俺とお前。 で、全寮制の榮花では生徒会だけ寮も別。 だから、お前は今ここにいる。 理解しただろ?」 『……』 開いた口が塞がらない。 何をどこから、つっこめばいいのか。 「おい。わかったかどうかぐらい答えろ」 説明した努力が報われないと愚痴る光。 『…そもそも』 何とか整理中の頭の中から、浮かんだ疑問をぶつける。 『生徒会長とは、実力・人脈・人気がある者を、選挙を経て生徒による投票で決めるものでは?』 それが普通だ。 以前の学校もそうであったし。 「榮花は他とは違うんだよ」 …つまり、普通の学校じゃない。 (校舎からして普通ではないのに、制度ぐらいはと考えていた私が馬鹿だった。) …だけど 『私はここに入学する気はない。つまり私には女子会長とやらの職に就く必要も権利もない』 関係無い、ということだ。 『少々世話をかけたことは謝る。では私はこれで…』 失礼しようとした。 …が 「待てよ」 光の手が姫蝶の腕を捕らえた。
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