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「お前、俺の話聞いてた?」
眉を寄せる光。
『聞いた。理解した。だから失礼する』
腕を振り払おうとする。
けど、解けない。
…それどころか
グイッ
『!』
光は強く姫蝶の腕を引いた。
お互いの顔の距離は、わずか数センチ。
「……」
光はジッと姫蝶を見る。
鋭く相手の心を見透かすような眼差し。
普通の女子なら、顔を赤らめ失神寸前になるか、勘違いして触れようとするかのどちらかだろう。
それほどの魅力を、光は持っている。
…けれど
『近いんだけど』
姫蝶には効かない。
「…ほんと、お前変わってんな」
光は姫蝶の腕を離すと、再び緑を呼んだ。
「こいつ頼む」
「かしこまりました」
緑は笑顔で姫蝶の元へ歩み寄る。
『待て!私はこの学校へは…』
「だから」
光はため息混じりに言う。
「お前はここの生徒で、会長に就任して、ここで生活する。決定事項だから」
「文句あるなら豊春さんに直接言え」と言いながら、光は二階への階段を上がる。
『西園寺とやら、なぜあなたまで叔父上に従う?関係は?』
トン、トンと上がりながら、光は答える。
「理事長だから、うちの」
『…は?』
姫蝶が気づいた時には、すでに光はいなかった。
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