第1話-榮花学園-

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「お前、俺の話聞いてた?」 眉を寄せる光。 『聞いた。理解した。だから失礼する』 腕を振り払おうとする。 けど、解けない。 …それどころか グイッ 『!』 光は強く姫蝶の腕を引いた。 お互いの顔の距離は、わずか数センチ。 「……」 光はジッと姫蝶を見る。 鋭く相手の心を見透かすような眼差し。 普通の女子なら、顔を赤らめ失神寸前になるか、勘違いして触れようとするかのどちらかだろう。 それほどの魅力を、光は持っている。 …けれど 『近いんだけど』 姫蝶には効かない。 「…ほんと、お前変わってんな」 光は姫蝶の腕を離すと、再び緑を呼んだ。 「こいつ頼む」 「かしこまりました」 緑は笑顔で姫蝶の元へ歩み寄る。 『待て!私はこの学校へは…』 「だから」 光はため息混じりに言う。 「お前はここの生徒で、会長に就任して、ここで生活する。決定事項だから」 「文句あるなら豊春さんに直接言え」と言いながら、光は二階への階段を上がる。 『西園寺とやら、なぜあなたまで叔父上に従う?関係は?』 トン、トンと上がりながら、光は答える。 「理事長だから、うちの」 『…は?』 姫蝶が気づいた時には、すでに光はいなかった。
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