第1話-榮花学園-

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予想外。 それが、姫蝶に対しての光の感想だった。 華月院家と言えば、名家中の名家。 家柄では、おそらく西園寺家を凌ぐほど。 しかし、華月院家は公の場に姫蝶を一度も出していない。 豊春ははぐらかすので、皆噂や曖昧な情報でしか知らない。 その注目すべき人物が、榮花に転入すると豊春から聞いてはいたが… 光にとってはまさかの初対面となった。 携帯を出すと、光はある男に電話をかけた。 ー「…はい」 出た相手は、藤代 清治(フジシロ セイジ)。 ー「何だ、光」 「…会ったぞ、華月院の娘」 一瞬間を置いて、清治が返す。 ー「そういえば来ると言っていたな。でも、まだ先の予定じゃなかったか?」 「ああ。けど電話で豊春さんが早めたっつってた」 「豊春さんらしいな」と、電話の向こうで清治は笑う。 ー「で、どうだったんだ?」 光はキッパリと答える。 「変な女」 清治は「変?」と聞き返した。 華月院家の娘が変とは、一体どういうことだと疑問に思うのも無理はない。 「あんな女、初めてだよ」 思い出したのか、光は小さくフッと笑う。 ー「何だ、気に入ったのか?」 光の様子に、清治は冗談のつもりで聞いた。 …ところが 「…さあな」 曖昧な答え。 だけど、あの光が否定しなかった。 そのことに、清治は少し驚いた。 ー「…楽しみにしておくよ」 笑みを含んだ声だった。
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