第1話-榮花学園-

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『あった…!』 思わず声に出す。 そりゃそうだ。 やっとのことで大門に通じる道に出たんだから。 …しかし (…広い。で、遠い。) 大門が見えない。 それほどの広大な敷地の中に学園はあるのだ。 (昨日は門から校舎までは車だったからな…。) だけど車がない今、歩くしか方法はない。 姫蝶は気合いを入れると、道に沿って歩き始めた。 それからしばらく経って、大門が微かに見えてきた時 『…!』 前方から黒塗りの車が走って来た。 隠れようにも、あちらからはすでに丸見えだろうし、今頃側の木に隠れても逆に怪しい。 それに、清掃員の格好をしているのだから、気にも留めず普通に通り過ぎていくかもしれない。 姫蝶はあまり目立たないように隅に立つと、車が通り過ぎるまで顔を伏せるように会釈した。 …ところが キッ 『!』 車は少し先で停止した。 姫蝶が振り向いたのと同時に、スモークがかった車窓がガーッと下りていく。 その窓から顔をヒョコッと覗かせたのはー… 「ねぇ、」 美少女?…いや 少年だった。
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