第1話-榮花学園-

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『なっ…』 「使用人データに未登録。臨時で人員を補充したという記録もない」 藤代が座席の台に載せて見ているものは、ノートパソコン。 「不法侵入容疑で身柄を拘束する」 『!』 車内から出てきた黒服の男たちに、昨日に続いてまたも腕を固定される。 『待てっ!私はー…』 言いかけた口を慌てて閉じる。 本名をバラすわけにもいかない。 「何だ?」 どうするべきか。 姫蝶が眉間にしわを寄せた、その時 「藤代様、こちらは華月院様でございます」 (昨日の…!) 門外にいた警備員が中の事態に気づき、藤代に告げた。 その男は、昨日姫蝶を学園に連れた者。 姫蝶の口が、あんぐりと開く。 「…華月院、姫蝶様?」 藤代が姫蝶を見る。 (…終わった。) 学園脱出計画は、あと一歩のところで失敗に終わってしまった。
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