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『なっ…』
「使用人データに未登録。臨時で人員を補充したという記録もない」
藤代が座席の台に載せて見ているものは、ノートパソコン。
「不法侵入容疑で身柄を拘束する」
『!』
車内から出てきた黒服の男たちに、昨日に続いてまたも腕を固定される。
『待てっ!私はー…』
言いかけた口を慌てて閉じる。
本名をバラすわけにもいかない。
「何だ?」
どうするべきか。
姫蝶が眉間にしわを寄せた、その時
「藤代様、こちらは華月院様でございます」
(昨日の…!)
門外にいた警備員が中の事態に気づき、藤代に告げた。
その男は、昨日姫蝶を学園に連れた者。
姫蝶の口が、あんぐりと開く。
「…華月院、姫蝶様?」
藤代が姫蝶を見る。
(…終わった。)
学園脱出計画は、あと一歩のところで失敗に終わってしまった。
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