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これが、果たして学校なのだろうか?
森の中にそびえ立つ、まるで中世時代の城のようなこの建物が、学校と言えるのだろうか?
…まず有り得ない。
姫蝶は拳をギュッと握ると、目の前の巨大な建造物を見据えた。
(…叔父上め!
私をこんな怪しい所に送り込んで、何を企んでいる…?)
叔父の豊春(トヨハル)に薦められ、執事に連れられやって来た。
だけど、どう考えてもここが学校なわけがない。
(…また私は、叔父上のお遊びに引っかかってしまったのか?)
姫蝶はため息をつくと、帰るために踵を返そうとした。
その時
「ではお嬢様、私はこれで」
側に立っていた執事が、仕事を無事やり終えた!というような顔で姫蝶に頭を下げた。
『……は?』
姫蝶は『私も帰るぞ?』と首を傾げると、車の方へ歩き出した。
それを
ガシッ!
『!』
がたいの大きな男二人に阻止された。
『なっ何だお前たち!離せ!』
バタバタと暴れる姫蝶の両腕を、無言で掴むスーツにサングラスの男たち。
『私は帰るんだ!何をする!』
執事が合図をすると、男たちは大門の方へと姫蝶を引きずり出した。
『ちょっと!助けろ!』
「お嬢様…私はお嬢様が立派な淑女になられることを願っております」
『はぁ!?』
困惑する姫蝶を、執事は安堵の表情を浮かべながら見送る。
『~~っ!』
(どういうことだーーっ!!)
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