160人が本棚に入れています
本棚に追加
『……』
抵抗するのに疲れ、大人しくズルズルと連れられる。
『…私をどこへ連れて行く』
「「……」」
男たちは相変わらずの無言。
姫蝶は少し口を曲げてしかめ面をすると、
そういえば、と辺りを見始めた。
大門から広大な敷地へと入り、建物内へとやって来たが…
(…中もまるで城だな。)
大理石の床に、シャンデリアに、絵画に、装飾品に、巨大な窓に…
(…絶対、学校じゃないだろう、うん。)
第一今日は平日であるのに、生徒の姿はどこにもない。
生徒の前に、人がいない。
そして…教室すら見当たらない。
(…叔父上、本当に何を企んでいる?)
うーんと考えていると、
「…到着いたしました」
パッ…と腕が解放される。
『…っと!急に離すな!』
キッと睨み付けると、二人揃って姫蝶に頭を下げた。
「手荒なまね、まことに申し訳ありませんでした。あちらになります」
そう言って男が示した先を目で追うと、
…荘厳な扉が見えた。
「…学園長室です」
最初のコメントを投稿しよう!