第1話-榮花学園-

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学園長室があるということは、ここが学校というのは本当なのだろうか? (…何でもいい。 話をつけて、私は帰る。) 手短に深呼吸をして、取っ手に手をかけた。 ーガチャ… 『失礼、華月院と申します……ん?』 部屋の中には、誰もいない。 『学園長、いらっしゃいませんか?』 見てわかるが、返事はない。 (…留守か。) 姫蝶は小さくため息をつくと、とりあえず目の前の応接用ソファーに座った。 (…さて、どうしたものか。) 学園長が不在なのでは、行動しようがない。 時計が針を刻む音だけが、室内に響いている。 (…暇だな。) ふと、姫蝶の視界にテーブルの上の高級茶菓子が見えた。 (…一個ぐらい食べても、支障はないだろう。) お菓子に手を伸ばした、その時 ーピリリッ 『!』 ポケットから機械音が鳴った。 (そうだ!携帯電話があった!) 携帯の存在を思い出し、姫蝶は急いで通話ボタンを押した。 相手はもちろん 『もしもし、叔父上!』 ー「…姫蝶、出て早々大声出さないでよ」 叔父の豊春だった。
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