第1話-榮花学園-

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ー「どう?良い所でしょ、気に入った?」 豊春の声は、いつものおちゃらけた調子。 『…良いもなにもっ』 姫蝶はソファーから立ち上がった。 『また私をからかって!ここが学校?ご冗談でしょう。執事には置いていかれるし、変な男たちには無理やり引きずられるし…何なんですか!』 ー「そう一気に喋らないの」 豊春に軽くたしなめられ、更に姫蝶はムッとする。 『…叔父上の仕業でしょう。私を無理やりこんな怪しい所に入れさせてっ』 ー「だって~姫蝶絶対素直に聞かないし。そこの警備員さんに頼んでおいたんだ。でも、綺麗な学校でしょ?」 『だから学校じゃ…!』 姫蝶の抗議を気にせず、豊春は言葉を続ける。 ー「ところで、今学園長室だよね?学園長は不在?」 無視され、少し頬を膨らませながら答える。 『…そうですが』 ー「ちゃんとノックして入った?」 …忘れていた。 『ノックは…してませんが、ちゃんと礼儀正しく待ってます』 ー「お菓子に手出してたりして」 (ぐ…!) 豊春は姫蝶を観察しているのだろうか? 『…とにかくっ、私は帰ります!』 豊春にこれ以上呑まれてはならないと、姫蝶は強く言い放った。 その時 ーガチャ… 扉が開いた。 学園長が来たと思い、姫蝶が振り向いた先には… 「…何してんの、お前」 明らかに学園長ではなく、少年でも大人でもない、 一人の男が立っていた。
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