神様

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 朝、混みだす前に電車に乗り、気が向けば自転車で学校に行き、日暮れ前まで授業に浸り、朝来た道を引き返す。  一年の途中からこのクラスに入り、月火水木金曜日、土日は塾か家庭教師。  そんな日々にようやく慣れてきた僕に、衝撃的変化をもたらしたきっかけ――それは、二年二学期の始めのことだった。  セミも木から落ちるほど、暑い暑い夏の始業式。校長は「九月は秋の始まり」なんて言ってたけど、誰もそんなこと思えやしない、そんな朝だった。 「転校生を紹介する。朝倉まゆみさんだ、これから大変な時期になる時の転入だから、皆、フォローしてやれよ」  ――僕がいるクラスは、この学校では『トックラ』と呼ばれている特別クラスだ。  特別頭が良い奴か、何かしら障害を持った奴か、両極端な生徒が混在している。  だから、こんなクラスに入ってくるということは、その子は、優等生か障害者のどちらかってこと。  そして僕らは、男女関係なく出席番号順に座るから、その子の席は教室右端の一番前になった。  右端一番後ろだった僕の席は一つずれて、右から二番目一番前……その子の隣になってしまった。
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