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「……」
掛け軸の下の刀に顔ごと視線を向ける。
それから考えた。いつまでこんなことが続くのか、いつまでこの命が続くのか。戦いは命懸け。常に死と隣り合わせ。殺らなければ殺られる、命のやり取りだ。そんな、命のやり取りだを続けながらも私は思う。倒幕なくして、新たな世は訪れないのだろう、と。
だが、私は新たな世よりも皆が笑顔で暮らし、笑い声の堪えなかったあの頃のような世を望む。それを叶えるためには世を変えるわけには行かないのだ。そしてそのために、私は戦う。それが、私の意志であり、信念。
これだけは何があっても、何を言われても曲げられない。
私は、死するその時までその意志を、貫き通す。
“新撰組局長”として、“剣士”として、そして“近藤勇”として──
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