蝶番

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別れ話を切り出すと 男は決まって泣きました しゃくりあげながら鼻水すすり 「離れないで」と言いました 独りでに語り出す自責の念や 止む気配のない泣き声に 私への愛など見いだせず 自分に酔いしれた男には 同情する価値すらなくて だけどもどうにも無視できず 男の頭を撫でました 男の背中をさすったり つられて泣いてみたりもしました あたたかな気持ちになりました 自分に酔っているのはやはり 男ではなく私の方です
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