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ダーリンに靴を買って貰った。てかてか光るプラットフォーム、目映いほどのマゼンタカラー。真新しい靴はわたしの足を拒むよう、歩くほど擦れて薄い皮をめくっていく。
「足が痛いわ」
わたしが顔をしかめて痛みに嘆くのを、彼は嬉しそうに眺めるだけ。親指の付け根がヒリヒリして、きっと血が出ているんだと思った。
「とても痛いかい」
「とても痛いわ」
「それはよかった」
「どうして?」
彼は笑う。早足で歩く。わたしも慌ててついていく。流れた血がマゼンタに滲んで汚れた。
「僕のせいで痛がる君を観てるとね、すこぶる気持ちが良いんだそれはもう君とのセックスよりもさ。それでこれから君がその靴を履くたびに痛がるのかと思うともう僕たちは二度と離れられないんじゃないかと思う、その靴は僕たちの赤い糸みたいなものさ、」
彼の言っていることがよく分からなくて、だけど彼が嬉しそうなのが嬉しくて、これからはこの靴を履いたままセックスをしようと思った。
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