1・冷蔵庫

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ジャリッと砂を踏むような音がして、同時に足の裏に鋭い痛みがいくつも走る。 壊れた時計の破片を踏みしめ。 何も考えずに全力で。 「るう」 僕はナキさんを抱きしめていた。 夜の「彼女」を。 腕の中のナキさんは柔らかく甘い匂いがして、そしてやっぱりひどく冷たかった。 「・・・嫌いなの」 さっきまでとはうって変わって、弱々しい声でナキさんが呟いた。その表情を、僕は見る事ができない。 僕は思う。 「でも」 例え、そのどちらが本当の「彼女」―ナキさんだとしても、僕はたぶん。 「どこにも行かないで」 必要とされているのだ。
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