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何気ない日常のひとコマ、静かな夕食の時間に、突如としてその言葉がお母さんの口から飛び出した。
「礼芽(あやめ)……恩賀崎(おんがざき)家本家へ行ってちょうだい。…『男』として」
「ぶふう!!??」
私は、食べていた夕飯を盛大に吹き出す。
「ちょっ、なによ礼芽!!汚いなー」
顔をしかめて言うお母さん。
「ご、ごめ…じゃなくて!!」
私は吹き出した夕飯に構わず、身をのりだした。
「どういうこと!!??ぜんっぜん意味がわかんないんだけど!!!!」
お母さんはものすごい剣幕でまくしたてる私に物怖じしたのだか、途端に小さくなった。
「礼芽…怒らない??」
「いや、怒る」
「じゃあ話せないーっ」
言って逃げようとするお母さんの襟首を素早く掴む。
「わわわ!!くっ首っ!!!!苦しっ………礼芽っ」
悶えるお母さんに、私は最上級の笑顔で言った。
「じゃあ話してくれるよね??」
「……はい」
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