その壱

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****** お母さんの話を聞くこと3分。 沈黙が辺りを支配する。 だめだ。 頭が混乱して働かない。 とりあえず、今の状況を自分の口に出して整理しないと。 私はため息をつき、重い口をゆっくり開いた。 「…つまり、こういうことだね…つい最近、おじいちゃんは余命1年を宣告された」 「ええ」 「早急に跡継ぎが必要になり??」 「そう」 「うちに偵察に来たら、たまたま夕飯食べに来てた私の彼氏を息子と勘違いし??」 「みたいね」 「うちの話も聞かずに、ただちに恩賀崎家へ来るようお達しがあった、と」 「そのとおり」 どーよ?? とお母さんは首をかしげる。 ……………。 「どーもこーもあるかーいっ!!」 私は再び大声をあげた。 ちゃぶ台があったらひっくり返す勢いだ。
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