その壱

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「だいたい、おじいちゃんは私を生むときお母さんを勘当したんでしょ??何で今さら」 そう。 私は、恩賀崎家現当主であるおじいちゃんのれっきとした孫だけど、名字は恩賀崎じゃない。 紺野(こんの)。 紺野礼芽、だ。 死んじゃったお父さんの名字。 ああ、そもそも恩賀崎家がどういった家系かを説明してなかった。 恩賀崎家は、その由来を室町時代までさかのぼるかなりの名家であり、代々天皇家の側近として仕えてきた。 歴史に名が残らなかったのには理由がある。 私のひいひいひいおじいちゃんの代で、ある大失態をしてしまったからだ。 どんな大失態かってのは、割愛。 語るほどのもんでもない。 とにかく、それでも御家断絶ってな事態にならなかったのは、天皇家の温情だ。 今ではお金も地位もほとんどないけど、名前だけは残していこうって決めたみたい。 それは、いいの。 ご立派だと思うよ。 ……だけどね。 問題なのは、恩賀崎家には馬鹿みたいなしきたりがあるってこと。
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