277人が本棚に入れています
本棚に追加
走って走って、裕貴が追いつかないような場所まで来たところでやっと息をつく。
ふう、まいてやったぞ。
落ち着いた私は、あたりを見回した。
私が来た場所はどうやらこの大学の食堂のようだ。
まだ午前中なのもあってか、人はまばらで、学生たちがめいめいに歓談したり、勉強したりしている。
私は近くにあった自動販売機でお茶を買って、空いている椅子に腰掛けた。
それにしても、おっきい大学だ。
食堂の広さだけで、私の大学の二倍はあるし。
ここに来るまでにもたくさん建物が並んでいた。
私の大学は単科大学だし、建物だって五つか六つある程度だ。
いろんな学部の人がいる大学も、楽しそう。
むくむくわいてきたこの大学への興味を、あわてて押しとどめる。
これじゃおじいちゃんと裕貴の思う壺だ。
まあでも、せっかく来たんだから何個か授業をのぞいてみたいよね。
そのためには…
「どっかに授業案内みたいなのないかな…」
「なくしたの??」
突然かけられた声に、私は驚いて顔をあげた。
最初のコメントを投稿しよう!