その四

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ひきずられるようになのはに連れてこられた場所は、三号館と表示された建物。 その中のひとつの教室に入りながら、なのはは言った。 「経営学部はだいたいこの建物で授業があるんだよぉ」 「へぇ…」 じゃあ、裕貴もこのどっかにいるのかな。 考えつつ、私はなのはのあとに続いて教室に足を踏み入れた。 「広いなぁ…」 思わずつぶやく。 やっぱり、私の大学とは全然規模が違う。 感心してきょろきょろする私のかたわら、なのははさっさと教室のうしろの方に腰を落ち着けた。 私はしばらく教室を見回していたが、いつの間にかなのはが席についたことに気付き、慌ててなのはの横に座る。 「あの、なのはさん??」 「んー??」 私はゆっくりした動作で鞄から教科書を取り出すなのはに訊ねた。 「これは何の授業なんですか??」 なのはは教科書をすべて取りだし、鞄を隣の席に置いたあとこちらを向いた。 「えーとね、たしか、理論の授業だったよ」 たしか、って…… しかも、あいまい。 なのはは呆れる私に構わず、眉をひそめて続けた。 「ほんとは、これ履修するはずじゃなかったんだよ。ユキちゃんに騙されちゃってぇ」 え…………… 「ユキちゃん??」 おそるおそるたずねる私に、なのははにっこり笑って答えた。 「うん、なのはの好きなひと!!ちょーかっこいいんだよ。経営学部のアイドルなの」 十中八九裕貴のことだ…… なのはにまで、毒がまわっているとは…… 頭を抱える私の肩を、なのははぽんぽんと叩く。 「ユキちゃんに手ださないでね??ユキちゃんはなのはのだから」 「はい…」 頼まれたってしないし。 「今日は授業かぶるの午後からなんだよ。つまんなぁい」 じゃあ、裕貴に見つかるのは午後か。 ちょうどいいかな。 ぶーぶーと文句をいうなのはの言葉を、適当に聞き流しているうちに授業が始まった。
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