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それから一時間がたち、チャイムが授業の終了を告げる。
先生は無難に授業をしめくくり、さっさと教室を出て行った。
授業を受けていた生徒も、がやがやとめいめいに立ち上がる。
「ふぁー。やっと終わったね。じゃあ、行こっか」
あのあとずっと携帯をいじっていたなのはは、教科書や筆記用具を鞄にしまい、立ち上がった。
「このあとは授業ないんですか??」
「えー、あるけど、もういいじゃん」
あるのにさぼるのか…。
うーん。
まあ、なのはの問題だし。
なのはがいいっていうなら、いいんだろう。
裕貴はどのくらいまじめに授業受けてるのかな…。
そんなことを考えつつ、せかすなのはに従って教室から出た。
教室から出るやいなや、なのはは歩きながらどこかへ電話をかける。
「あ、ひろくん??今どこー??」
ひろくん、とやらが何か答えたのだか、なのははおかしそうに笑った。
「うん、うん、わかったー。じゃあ行くね」
なのはは電話を切り、くるりとこちらに向き直った。
「カフェにいるって。すぐ近くだよぉ」
なのはの言うとおり、そのカフェは大学構内にたてられたもので、三号館のすぐ裏にあった。
大学内にあるカフェにしてはやけにおしゃれな建物だ。
なのはは慣れた様子でその扉を開け、窓際に座る男の子二人に向かって手を振った。
「ひろくん、ふみくん」
手を振られた男の子二人は、ぱっとこちらを向き、笑顔を見せる。
なのははちょこちょこした動作で二人にかけより、私を手招いた。
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