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「…なんですか??」
視線にいたたまれなくなり、私は彼にたずねた。
「んー、いや??クールだなと思ってさ」
あ、また言われた。
クール。
私、心のなかではいろいろ考えてるんだけど、それを口に出さないから、よくそう言われる。
恩賀崎家に来てから、あまりに驚きの連続で叫んだりなんだりしちゃってるけど。
こんなの、お母さんと二人で家にいるとき以外めったにないことだ。
いや、別にクールって思われるのはいいんだけどさ。
“冷たい”って思われるのは、いやだな…。
そんなことを考え、私は文弘から目をそらした。
「そうですか??」
「うん。何考えてるかわかんないし」
こいつ。
けっこうずばずば言うやつだな。
少しカチンときて、私は黙りこむ。
すると、彼はにこにこしたまままた話しかけてきた。
「ねえ、礼芽ちゃん気づいたっしょ??」
「何に??」
もはや敬語もめんどくさくなってそう聞き返すと、彼は浩紀の方を指差した。
「浩紀がなのはを好きなことだよ」
どう答えていいものやら一瞬迷ったあと、私はゆっくりうなずいた。
「まあ…ばればれだし」
私の答えに、文弘は満足げにうなずく。
「だからさ、協力してあげようよ。浩紀のこと」
私は文弘の言っている意味がわからなくて、彼の方を見た。
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