その四

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「…なんですか??」 視線にいたたまれなくなり、私は彼にたずねた。 「んー、いや??クールだなと思ってさ」 あ、また言われた。 クール。 私、心のなかではいろいろ考えてるんだけど、それを口に出さないから、よくそう言われる。 恩賀崎家に来てから、あまりに驚きの連続で叫んだりなんだりしちゃってるけど。 こんなの、お母さんと二人で家にいるとき以外めったにないことだ。 いや、別にクールって思われるのはいいんだけどさ。 “冷たい”って思われるのは、いやだな…。 そんなことを考え、私は文弘から目をそらした。 「そうですか??」 「うん。何考えてるかわかんないし」 こいつ。 けっこうずばずば言うやつだな。 少しカチンときて、私は黙りこむ。 すると、彼はにこにこしたまままた話しかけてきた。 「ねえ、礼芽ちゃん気づいたっしょ??」 「何に??」 もはや敬語もめんどくさくなってそう聞き返すと、彼は浩紀の方を指差した。 「浩紀がなのはを好きなことだよ」 どう答えていいものやら一瞬迷ったあと、私はゆっくりうなずいた。 「まあ…ばればれだし」 私の答えに、文弘は満足げにうなずく。 「だからさ、協力してあげようよ。浩紀のこと」 私は文弘の言っている意味がわからなくて、彼の方を見た。
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