その四

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そんな私たちの微妙な空気を、突如高い声が吹き飛ばす。 「ユキちゃーん!!こんなとこにいたぁ」 甘い声色とのんびりした喋り方に、もしやと思って顔をあげると、そこにいたのは案の定なのはだった。 なのはのうしろに浩紀もいる。 浩紀はなんだか不機嫌そうな表情をしていたが、裕貴の前に座る私を見て、あれ、と声をあげた。 「礼芽ちゃん??だよね??」 浩紀の言葉に、それまで裕貴しか目に入っていなかったなのはも私の方を見る。 「あー、ほんとだ、あややだ!!なんで??なんでユキちゃんといるの!?」 「おい、“ユキちゃん”はやめろって言ってんだろ」 うどんを食べ終えた裕貴が反論するも、なのはは私がなぜここにいるのかの方が気になるらしく、私から目をそらさない。 どうしよう。 下手なことを言えば、なのはを怒らせてしまいそうだ。 ていうか、私はすでになのはにひとつ嘘をついている。 裕貴が余計なことしゃべる前に、うまくごまかさなくちゃ。 私は口を開いた。 「えっと、実は私と裕貴、従兄妹で。受験のために今裕貴の家に来てるんです」 「は??いと――いてっ」 怪訝そうな顔をして言いかけた裕貴の足を、テーブルの下で踏みつける。 私たちの不審な行動はなのはにバレなかったようだが、それでも彼女は眉をひそませた。 「いとこぉー??」 「はい」 内心冷や汗をたらしつつ、笑顔を崩さない私になのはは叫んだ。 「従兄妹だからってユキちゃんの家に住んでるなんて、許せないっ!!従兄妹は結婚できるんだよ!?」 えー、そうなる!?!? 怒り心頭な様子のなのはを、浩紀が必死で押しとどめる。 裕貴は状況を理解したらしく、ざまぁみろとばかりにニヤニヤ笑って何のフォローもしてくれなかった。
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