その四

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「やったぁ!!じゃあ、さっそくユキちゃんと二人きりにしてくれない??」 「喜んで」 言って、がたっと椅子から立ち上がった瞬間、裕貴に手をつかまれる。 びっくりして何か言ってやろうとしたが、私が声を発する前に裕貴がなのはに向かって言った。 「もうすぐ三限だろ。ご当主に礼芽を案内するように頼まれてるからだめだ」 「ええー。ユキちゃんいつも真面目すぎ!!」 「お前が不真面目なんだよ」 「うわーん、ユキちゃんのいじわる」 口調のわりに、裕貴と会話できて嬉しそうななのは。 ところで、この手、離してくれないかな…。 離せという意味をこめて腕を振ってみると、裕貴がこっちを見た。 「離さない。お前すぐどっか行くんだから」 どうやら、また思っていたことが伝わっていたようだ。 私は口をとがらせ反論する。 「いいじゃん、私がどこ行こうと」 「いちいち手間かけさせんじゃねえよ」 またしても、明らかに不機嫌そうな表情をする裕貴。 私は腕を離してもらうことをあきらめた。 なのはは黙って見ていたが、耐え切れなくなったように間に割り込んでくる。 「ねえ、ユキちゃん、じゃあ、三限終わったらどっか遊びに行こうよ」 「無理。終わったらすぐ帰ってくるように言われてんの」 しれっと言い、裕貴はうどんの入っていた皿と、私の食べたしょうが焼き定食のお皿を重ねて持って立ち上がった。 「さて。そういうわけだから、授業行くぞ」 「ちょ、引っ張んないで」 私が裕貴に連れられ、ずるずると食堂を出る後ろから、不満げな顔のなのはと、さっきから一言も発しない浩紀がついてきた。
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