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「ユキちゃーん、だったら明日遊ぼうよー」
食堂を出てすぐ、こりずに裕貴にからみついていくなのは。
なのはへの対応で裕貴の手が離れたため、私は一歩下がってうしろからついてくる浩紀に並んだ。
裕貴につかまれていた手首をさすっていると、横からため息が聞こえてくる。
「…なのはのことですか??」
私の言葉に浩紀は一瞬驚いたようにこっちを見たあと、再びため息をついてうつむいた。
「やっぱ、ばればれだよね。こんだけあからさまなのに気付いてもらえないなんて、脈なさすぎ」
独り言とも愚痴ともつかないような言い方で話す浩紀に、私が黙ったままでいると、彼はこっちを向いて言葉を続けた。
「礼芽ちゃんはさ、裕貴好きになんないの??」
ぶっ飛んだ浩紀の質問に、私は思わずらしくない大声を上げる。
「彼氏いる、って、何回言わせるんですか!!」
私が大声をあげたことで、裕貴となのはが驚いてこちらを見てきた。
「なに??どしたの??」
「なんでもない。俺が失言した」
眉をひそめ聞いてくる裕貴に、浩紀は手をぶんぶん振って取り繕う。
あんな大声あげることでもなかったな。
騒がせてしまったことを反省していると、裕貴が「どうなの??」という表情でこちらを向いてきた。
私が「大丈夫」という意味を込めて手をひらひら振ると、裕貴は首を少しすくめて前に向き直る。
「ごめん、あんな聞き方して」
申し訳なさそうな浩紀の言葉に、私は首を横に振った。
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