その四

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「こっちこそ、おおげさでごめんなさい」 私の言葉に、浩紀は悲しそうにこちらを見る。 「礼芽ちゃんが怒ったのは、俺のずるい気持ちがわかっちゃったからだろ??」 浩紀のずるい気持ち。 私はなんだか答えられなくて、黙ったままでいた。 浩紀はそんな私に小さな声で言う。 「裕貴、礼芽ちゃんと接するときなんかいつもと違う気がするんだ。ひょっとして、裕貴があんなモテるのに今まで彼女作らなかった理由は、礼芽ちゃんかな…って」 「それはないです。私たち、会ったのつい昨日ですもん」 え??と驚いた顔で見てくる浩紀に、私もなんだろうと見返す。 「いとこでしょ??会ったことなかったの??」 あ、しまった。 私は慌てて取り繕った。 「ええと、なんというか、遠くに住んでるから、会ったのは昨日がほんと久しぶりだったというか」 浩紀はふうん、とあいまいな相槌をうってきたが、これ以上弁解してもよけいあやしくなりそうで、私も黙ることにした。 浩紀は。 私が裕貴を好きになって、裕貴も私を好きになることを期待しているのだろう。 だって、そうすればなのはは失恋する。 浩紀の方を向いてくれる可能性だって、でてくる。 全然ずるいことじゃないと思うよ。 と私はあえて心の中で浩紀に言った。 私が浩紀でも、そう考えてしまうだろうから。
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