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授業が終わったあとの帰り道。
ごねるなのはとなんとか別れた私達は、黙ったまま恩賀崎家へ向かっていた。
信号待ちで立ち止まり、手持ちぶさたな私は足元にあった小石をこつんと蹴る。
私に蹴られてころころ転がった小石は横断歩道の真ん中で動きを止めた。
そんな小石の行方を目で追ったのち、裕貴が口を開く。
「授業どうだった??」
なんとも答えづらい質問に、私は「うん、まあ」とだけ答えた。
てゆか、この件に関して真剣な裕貴に下手なこと言えない。
私の答えに裕貴はふ、と笑いをもらす。
裕貴が笑う意味がわからなくて思わず裕貴の方を見る私と同時に、信号が青に変わった。
「別に、なんだって構わない」
裕貴は歩き出しながら言う。
そして、横断歩道の真ん中で止まった小石を蹴り、さらに続けた。
「礼芽がどういうつもりだろうと、俺のすることは変わらないから」
「どういう意味??」
裕貴を追い、横断歩道を渡り終えた私は、たまらず裕貴にたずねた。
裕貴は意味深な笑顔を浮かべ、こちらを振り返る。
「…さーね。とりあえず、帰ったらお前朝食残したことで雛子に殺されんぞ」
………は?????
「だ、だって、裕貴が無理やり」
「俺知ーらね」
裕貴はひょうひょうと言い、思わず立ち止まる私を置いてさっさと先に帰ってしまった。
その後の家での凄惨な出来事は、とてもここでは綴れない。
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