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「た…助かった……」
いまだ震える体をおさえ、呟く私と、
「まあ…なんじゃ、明日からはもっと早く起きなさい」
同じく雛子のどす黒いオーラにあてられ、震えるおじいちゃん。
そして飄々と成り行きを眺めていた裕貴がそんな私たちを見て、ふっと笑った。
******
「ふー、ご馳走さま、雛子さん。おいしかった」
「当然ですわっ」
運ばれてきた朝御飯を全部平らげ、私は雛子さんに向かって言った。
すっかり機嫌の直った雛子さんは、手際よく私たちの使ったお皿を片付けている。
ほんと、料理が絡まなきゃ普通の美人さんなのに……。
私は昨日の夜と今朝のことを思いだし、ぶるっと震えた。
いかん、忘れよう。
そ、そーだ、浴衣のままだったし、着替えなきゃ。
そう思って黙って席を立つと、なぜか裕貴も一緒になって立ち上がった。
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