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開ける前に、私に確認とってよ。
と思うも、もう開けられてしまったものはしょうがない。
それよりも。
私は三美子さんに連れられて部屋に入ってきた人を見て絶句した。
た、たぁちゃん……!!!!
たぁちゃんは一歩足を室内に踏み出したきり、私を見て硬直している。
なんで??
考えるまでもなく、私は今自分が置かれている状況を思い出した。
「ちょ、裕貴、おろしてっ!!」
「はいはい。うるせーな」
言って、無造作に私を床に下ろす。
そっちが勝手に抱き上げたんでしょ!!
裕貴の言い草にイラっとした私は裕貴をにらみつけたが、裕貴はどこ吹く風。
もう、いい!!
私は裕貴を放り、たぁちゃんのもとへ駆け寄った。
「あ、あのね、今のは――」
「あや、いいところに住んでるね」
私の言葉をさえぎり、笑顔を向けるたぁちゃん。
気にして、ない……??
たぁちゃんの笑顔に、若干不自然さを感じつつ、私も笑顔を作った。
「あ、うん。早かったね」
「あー、始発で来ちった」
へへ、と照れくさそうに言って笑うたぁちゃんに、少しほっとする。
うん、多分、大丈夫だ。
そこまでして来てくれたのは、すごくうれしい。
「こっち、荷物置いて」
私はたぁちゃんを部屋の奥へ誘導し、裕貴に向かってしっし、と手を振った。
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