その伍

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開ける前に、私に確認とってよ。 と思うも、もう開けられてしまったものはしょうがない。 それよりも。 私は三美子さんに連れられて部屋に入ってきた人を見て絶句した。 た、たぁちゃん……!!!! たぁちゃんは一歩足を室内に踏み出したきり、私を見て硬直している。 なんで?? 考えるまでもなく、私は今自分が置かれている状況を思い出した。 「ちょ、裕貴、おろしてっ!!」 「はいはい。うるせーな」 言って、無造作に私を床に下ろす。 そっちが勝手に抱き上げたんでしょ!! 裕貴の言い草にイラっとした私は裕貴をにらみつけたが、裕貴はどこ吹く風。 もう、いい!! 私は裕貴を放り、たぁちゃんのもとへ駆け寄った。 「あ、あのね、今のは――」 「あや、いいところに住んでるね」 私の言葉をさえぎり、笑顔を向けるたぁちゃん。 気にして、ない……?? たぁちゃんの笑顔に、若干不自然さを感じつつ、私も笑顔を作った。 「あ、うん。早かったね」 「あー、始発で来ちった」 へへ、と照れくさそうに言って笑うたぁちゃんに、少しほっとする。 うん、多分、大丈夫だ。 そこまでして来てくれたのは、すごくうれしい。 「こっち、荷物置いて」 私はたぁちゃんを部屋の奥へ誘導し、裕貴に向かってしっし、と手を振った。
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