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よかったー。
たぁちゃん様子おかしかったけど、これできっと機嫌戻ってくれるはず。
ほっとしながら自分の部屋につながる角を曲がると、裕貴の部屋の前に裕貴と制服を着た海大くんがいた。
「あ、おはよー、礼芽」
八重歯をみせて笑う海大くんに返事を返す。
「おはよう。もう9時になるけど、これから学校??」
「うん、寝坊したから!!」
あっけらかんと言う海大くんに若干呆れる。
「じゃあ早く行きなよ」
「裕貴にいと一緒に行くんだもん」
海大くんが口をとがらせてそう言うので、私は裕貴の方を見た。
「裕貴もこれから大学行くの??」
「ああ」
返事がなんだか淡白だ。
ちょっと気になるけど、あえて突っ込まずに私は二人に笑顔を向けた。
「じゃ、いってらっしゃい」
「紹介、しねーの??」
無表情でそう聞いてくる裕貴に、私はびくっとして彼を見た。
「紹介、って…??」
「おまえの彼氏だよ。名前も聞いてないんだけど」
あ、忘れてた…。
これから一緒に暮らすことになるんだもの、紹介もしないのは失礼だった。
「礼芽の彼氏ー??」
好奇心をみせて聞いてくる海大くんに、私はうなずく。
「そう、彼も私が帰るまで一緒に暮らすことになったの」
「えーっ!!」
驚く海大くんとは裏腹に、裕貴は早くしろと言わんばかりの目線をよこす。
なんでそんな不機嫌なの。
なんとなく不満に思いながらも、たぁちゃんを呼ぶべく私は自分の部屋の襖をあけた。
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